「倉戸ー!」 知っているような、知らないような人が彩乃を呼んだ。 彩乃は見なくてもその声に反応し、辺りをキョロキョロしていた。 後ろからポンポンと叩かれ、彩乃が振り向くと同時に、 「っ、」 あたしの手は誰かに握られた。 見なくても分かるのはなぜだろう。 「勝手にいなくなるな、アホ」 「先輩が先にいなくなったんじゃないですか」 反抗するが、これは照れ隠しだと分かるだろうか。