花京院家の愛玩人形


やけに深刻そうだな、おい。

紫信はゴクリと喉を鳴らし、テーブルに身を乗り出した。


「どのような問題ですの…?」


「見返りを求めず、ただただ与え続ける。
それが僕が理想とする、君への愛のカタチだ。
なのに…」


「え?
そ…う…ですの?」


「なのに!僕は!
君から与えられることを期待してしまった!」


「えぇ…
え?んん?」


「君がアイロンがけしてくれたシャツとか!
君がベッドメイクしてくれた寝室とか!
剰え、『どうしよう、お魚焦がしちゃったわ』なんてエプロン姿で困った顔をする君とかぁぁぁぁぁ!!??」


「要、要、戻ってきてくださいまし。
妄想力の翼が羽ばたきすぎですわ」


お魚は焦がしていないが、紫信は困った顔で口元に拳を当てた。

彼女には理解できない。

髪を掻き毟り身を捩るほどの要の苦悩が、サッパリ理解できない。

無理もないと思うよ?

ドッカの王様が言った『どれほど望もうとも何も与えてくれないからこそ、私は彼女を愛している』っつーのは、一般的な人間同士の愛のカタチとはちょっと違うから。


「あの…
それでは、こうお考えになるのはいかがかしら?」


理解できないながらもよい解決策はないものかと、考え考え紫信は言った。