花京院家の愛玩人形


「…
馬鹿にしておられるのかしら?」


「いやいや、とんでもない。
本当に可愛い、夢見るお姫様だと思ったダケ」


「む…
やっぱり馬鹿にしておられますのね。
‥‥‥ふふ」


楽しそうに笑う要につられて、憮然としていた紫乃も結局笑った。

時が流れ、要が帰れば、信太郎が戻る。


「お帰りなさい、信太郎さん」


「紫乃… おまえ…
また外を眺めていたのか?
窓から顔を出したのか?」


「え…
どうなさいましたの?
その、手に持っておられるのは…お手紙?」


「うるさい!
余計なコトを言うな!
大人しく私の質問だけに答えろ!!」


「っ!?
い…いいえ…」


「本当か!?」


「本当ですわ…
わ…わたくしはもう、外を見たりなど…」


「…
大声を出してすまない。
どうか泣かないでおくれ。
愛しているから、心配なンだ。
外の世界に関心を持つ必要などないだろう?
ずっと二人きりでいられれば、それだけでいいだろう?
紫乃にとって、それが一番の幸せなンだよ」


「…
わかっておりますわ…」