花京院家の愛玩人形


「意味がわからん…」


コージは茫然自失で呟いた。

心の声がダダ漏れデスネ。

顔から本を退けられてもイケメン崩壊しっぱなしのコージに、紫信はどこか憐れむような微笑みを向けて口を開く。


「女心どころかご自分のお心までも軽んじておられるコージ様には、きっとおわかりにはなられないでしょう」


「え…え?
俺、敬語で小難しくディスられた?」


「実はわたくしは、最初から要のお人形だったわけではないのです。
あの方は今も、そのことを気にされておられるようですわ。
もちろん口に出したりはなさいませんけども」


「待って、待って?
元カレとかじゃなくて、また人形なの?」


「そんなわたくしにまた他の誰かが、しかも戯れに触れたと知れば、あの方はどうお感じになられるでしょう?
持ち主に苦痛を与えるだけのお人形に、存在する価値などないというのに」


「存在価値!?
ソレ、重くない!?」


「だからわたくしは、あなた様が触れた髪ならば切り落としてしまいましょう。
あなた様が触れた肌ならば焼いて清めてしまいましょう。
あなた様が口づけをなさるというのなら…
わたくしはその前に舌を噛み切り、あの方に愛でられる価値の失せたこの身を滅ぼしてしまいましょう」


「…」


もう…なんも言えねェ。

花京院 要以外の男がちょこっとキスしただけで、死んじゃうンだってよ、このコ。