花京院家の愛玩人形


あぁ…

あの目。

冴え冴えと美しく。
ゾっとするほど鋭利な。

濡れた前髪を掻き上げた時に露わになった、花京院 要の目。

その、汚いモノを見るかのような冷ややかな眼差しが、全ての勲章を打ち砕かれて丸裸になった無防備な胸を…

胸を…


「ご主人様…
もっと罵って☆」


雨の中。

立ち尽くしたユイは、キュンと締めつけられる胸を両手で押さえ、要が消えた方向を熱く見つめて呟いた。

ハイ。
彼女は人生の正規ルートから外れた模様デス☆

そして、いたいけな少女に道を踏み外させた要はというと…


「君も、さー…
この間からいったいナニがしたいのかわかんないンだケド」


校庭の隅にあるダストステーションにユイが落としたごみ袋を突っ込みながら、なんだかボソボソとひとりごとを言っていた。

ひとりごと…だよね?
返事も返ってこないし、周りに誰もいないし。

うん。
誰も、いない…


「だんまり? … まぁ、いいケド。
視界の端にチラチラ現れて『きゃー 人形が迫ってくるー』的ホラーの煽り演出を狙ってるなら、僕にはあんまり効果ないみたいよ?」


やはりひとりごとのように声を発し続ける要の視線の先には、ごみ袋とごみ袋の間からピョコンと飛び出した、茶色く変色した小さな靴底が二つ…???