「要はいらっしゃいませんの?」
「んー…
僕はよそう」
「?
そうですの…?」
なんか、そんな風に言われると、見づらいっつーかなんつーか…
でも、好奇心には勝てないヨネー?
微妙な表情で佇む要を気懸りそうに振り返りながらも歩みを進め、紫信はパンドラの箱に手を伸ばす。
ドアノブを握り。
回し。
そして開き、足を踏み入れ…
「まぁ!」
広めのウォークインクローゼットのような部屋の右側に並ぶガラスケースを目にした紫信は、大きなタレ目を輝かせた。
それから、ふと視線を移し…
「ま… まぁ…」
左側に並ぶガラスケースを目にした紫信は、瞳の輝きを消して頬を引き攣らせた。
てか、ちょっと青ざめてンじゃん。
素早く歩み寄った要が、ジワジワと後退って逃亡を謀る紫信の肩を抱き、自らバタンと扉を閉める。
「大丈夫?
ごめん、刺激が強すぎたみたいだね。
でも、僕が掃除の時以外ソコに入らない訳は、理解してもらえたと思う。
母が引退した訳も…
見ての通りってヤツなンだろうね、きっと」
「だ…大丈夫ですわ。
その… 少し、驚いてしまって…」



