ある日の朝。

「おはよっ、蒼」

「はよ、愛結」

よしっ。普通に挨拶できた!

と、思ったのもつかの間。

「朝からラブラブですねぇー」

「ふぅーふぅ~」

男子がからかってきた。

…っ!!!!
せっかくいい雰囲気だったのにっ…!!

今までこのからかいにムカついたことはなかったけど、今日はムカついた。

別にからかうのはいいけど、こうゆう時に言うかっ!!

ムカつきすぎて下を向いたら…、

「恥ずかしがんなって!」

はあっ!?

「恥ずかしがってないっ」

あっ…。
つい、声が…。

「ははっ…。そんな怒んなって…」

私の声にビビったのか、男子達が立ち去っていった。

「べーだっ!!」

立ち去っていった男子達に向かっておもいっきりあっかんべーをしてやった。
どうだっ!!

「ははっ。あはは…」

「えっ!?」

「愛結、強っ…」

かあぁぁぁぁっ……!!

しまった!蒼がいるの忘れてつい本性を…。
恥ずかしいっ!!!!

蒼、爆笑してるし!!

「顔、赤いよ?」

「…っ!?」

ち、ちちちちちかっ…。

もっと顔赤くなっちゃうじゃん。

「ん…」

私は下を向いた。
真っ赤な顔を見られたくなかった。

「ん?どした?」

「あ、蒼はさ…」

恥ずかしくないの?って聞こうとしたら…。

「おはよー!」

「…!?か、夏乃ちゃん…っ」

「…はよ」

佐藤夏乃ちゃん。クラスは違うけど挨拶はかわす程度の仲だ。

そして…。

「あの…蒼…」

「えっ!?あ、なに?」

やっぱり…。
蒼は夏乃ちゃんが好き。
…らしい。

結構前から噂にはなってた。

今、夏乃ちゃんに見とれてた…?

「そうだよね…。なんとなく分かってたけど…」

蒼に聞こえないような小さな声でボソッと言った。

そして私と逆の方を向いてる蒼にきずかれないように、その場から立ち去った。

「―愛結…?」

後ろから名前を呼ばれた気がしたけど、振り向かなかった。

「バカ…」

この言葉は誰にむけて言ってるんだろう。

蒼?
ううん。

―私だ。