「う、嘘でしょ…」

私、百瀬愛結。今、小学五年生。

「雨…降ってる…」

今は梅雨の時期、六月。

で、私は雨が大嫌い!
特に雨に濡れることが大嫌い!

今は掃除の時間で、私は黒板掃除なんだけど…雨がふっているからベランダに出て、黒板消しの粉をほろいにいきたくない。

でも、そんなこと言ってたら…。

進まないよね―…。

誰かに頼むなんて、できないし…。
だから、
「や、やるしかない…!」

勢いだ。勢い!
パパッとやってすぐ戻ってこよう。

「よしっ!」
―タッ…。

私はベランダに出ようとした。
すると、
―パシッ。

「かして」
「えっ…?」

誰かに腕をつかまれて止められた。

「あ、の…?」

「女子が雨の日にベランダに出て、黒板消しの粉ほろわなくていいと思う」

「え?」

「だから、かして」

「あ…はい。お願い…します…?」

「ん」

素っ気ない返事をして、ベランダに出ていってしまった。

…誰だっけな。あの人…。

たしか、同じクラスになるの初めて人だよね。

―鈴野蒼。
…って人だよね。

話したこと無い人に自分から話しかけるのって、すごいと思うなぁ。

私、絶対無理。

ただでさえ、人見知りなのに。