「え・・・うん。暇だけど」
「ほんなら、明日はちょっと出かけてきてくれへんかな」
「どうして?融、何か用事あるの?」
「そうそう。・・・せっかくやし、彩と出かけてこい。それでエエよな、彩も」
「え?うん、わたしは別に大丈夫。柚紀と出かけてみたいし」
「サンキュ。ほんなら、決まりな」
私が口を挟む間もなく、話はとんとんと進んでしまった。
融が私のほうを振り向き、エエよな、と訊いてきた。
私には断る理由も拒む理由もないので、素直に頷く。
そのうちに私が昔住んでいたアパートの前で、香月先輩は車を停めた。
私と融はすぐに車を降り、トランクから自分たちの荷物を出した。
それから香月先輩にお礼を言って、管理人の部屋を訪ねた。


