「え?何で、急にそんなこと――」 「エエやろ、何でも。で、どないやねん」 「どうって言われても、そんなの分かんない」 「は?何でやねん。自分の彼氏が誰かも分からんのか」 「私にも、いろいろあるの。・・・だいたい、融には関係ないじゃない」 「それが、関係あんねんなあ」 そう言って、融は私の手をそっと握った。 途端に、私は閉口してしまう。 どうしてこうも、私は彼に対して弱くなってしまうのだろう。 あの頃の感情が蘇ってくる、なんて、そんな子供染みた理由なんかじゃない。 だったら、なぜ?