やっぱり、あの時、ちゃんと説得しておけば良かった。
けれど、そんなことを今さら思ったって、もうどうしようもない。
私はとりあえずその場を立ち去り、職員室に戻った。
この後は授業もないので、自分の席に座ってコーヒーを啜った時だった。
不意に、誰かに肩を叩かれた。
振り返ってみると、そこには校長が立っていた。
彼女は不敵な笑みを浮かべながら、私のことを見下ろしていた。
「どうして呼ばれたか、分かってますね?」
私を校長室へと連行し、座り心地の良さそうな椅子に腰を下ろしながら、彼女は言った。
私は、はい、と返事をしたけれど、幾分か声が小さくなってしまった。
案の定、私が呼び出された理由は、昨日の件についてだった。
きっと、私と柿本大翔が一緒にいるところを目撃した誰かが、この校長に告げ口をしたのだろう。
校長の話は延々と続き、私はそれを話半分に聞いていた。
けれど、不意に聞こえてきた「処分」という言葉に、私は思わず顔を上げる。


