物事には全て、それなりの理由や、意味がある。
もちろん、それがたとえ、どんなことであっても。
私はずっとそう思ってきたし、自分のそんな考えを、ずっと信じてきた。
だとしたら、私がこうして彼と再会したことには、どんな意味があるのだろう。
偶然と言ってしまえば、それまでのことかもしれない。
けれど、その偶然にもきっと、何かしらの意味があるはずなのだ。
だったら――と、私が考えていた時だった。
彼はいきなり、私にキスをした。
それはほんの一瞬の、本当に刹那的なものだった。
彼は唇を離すと、私の耳元でそっと囁いた。
「オレがまだ、十三年前の、ヒロト君のままだとでも思った?」


