Tender Liar



「当たり前でしょ。あくまでも、私たちは教師と生徒なんだし」

「それが分かんねーんだよ。別に、差別するわけじゃねーのに、何でだめなわけ」

「だめなものはだめなの。そこに、理由とか理屈とか、そういうのは関係ないの」

「何だよ、それ。ユズキも、何も知らないんじゃん」

「仕方ないじゃない。私は、そんなの考えたことないんだから」

「でもさ、バレなきゃいいんじゃねーの?」

「そういう問題じゃなくて。・・・だいたい、何で私なの?」

「何でって、別に理由なんてないけど」

「だったら、私みたいなオバサンじゃなくて、もっと他の子いるでしょ」

「は?別にユズキ、そこまでオバサンじゃねーじゃん」

「オバサンだよ。もう私、29歳だよ?アラサーって分かるでしょ?」

「だから何?まだ二十代じゃん。年の差とか、オレは気にしないし」


彼はそう言って、私に一歩近づいた。

私は逆に、一歩後退する。

けれど私はすぐに壁まで追いやられ、もうそれ以上は下がれなくなってしまった。

それでも彼はまだ、執拗に食い下がった。

私はまるで、尋問でもされているかのような気分だった。