「今日さ、ユズキんち行っていい?」
「は?あんた、何言ってんの。いいわけないじゃない」
「何でだよ。だってユズキ、どうせ独りでしょ?」
「だったら、何よ。ご両親も心配するでしょ」
「しないよ。オレが友達の家に泊まるって言ったら、何も言ってこねーし」
「だからって、私の家に泊まる気?そんなの、絶対だめだからね」
「何で?別にいーじゃん、泊まるくらい」
「だめ。私とあんたは、教師と生徒なの。分かってる?」
「だから、何だよ。何か言われたら、勉強してました、でいいじゃん」
「あんた、それ本気で言ってる?」
「そうだけど」
涼しい顔をして、彼はそう言った。
このままでは、いつまで経っても話に終わりが見えてこないのではないかと思い、私は仕方なく、彼を家に上げることにした。
幸い、私の家の近所に住んでいる生徒や教師は、一人もいなかった。


