「あ、来た来た」
「え、何、ずっとここで待ってたの?」
「そうだけど。だってさ、六時って言ったら、そのちょっと前には来るでしょ」
「仕方ないでしょ。こっちは仕事があるんだから」
「分かってるよ。だから別に、ユズキが悪いとか言ってねーじゃん」
少し意地の悪い笑みを浮かべながら、彼は言った。
ガキのくせに、と私は内心で思っていたけれど、もちろん口には出さない。
そんなことを言ったって、どうせまた何か言い返されるのが目に見えている。
それにしても、彼はどうして私を呼び出したりなんかしたのだろう。
私を試しただけ?
いや、まさか。
私が思った通り、彼はどうやら私に話があるらしかった。


