――今日の午後六時、駅前で。


あの言葉は、一体何だったのだろう。

待ち合わせの約束だろうという予想はつくが、理由が分からない。

当時、三歳やそこらだった彼に、積もる話など何もない。

それは、彼のほうだって同じはずだ。

十年以上も前に、一度か二度会った程度でしかない私と、何も話すことはないだろう。

それでも仕方なく、私は言われた通り、六時頃に駅前へと向かった。

ここで行かなければ、何だか負けのような気がして。