Tender Liar



翌日、私は待ち合わせ時刻よりも30分ほど早く、公園に到着した。

にも拘らず、融はそれより先に、そこへ来ていた。

私は慌てて、彼の元へと駆け寄る。


「ごめん、待たせちゃって」

「え?別に、謝ることちゃうやん。それに、まだ十一時半やねんで」

「でも、融はもっと早くから、ここにいたんでしょ?」

「まあそれは、俺がしたくてそうしたんやし。別に、ユズは謝ることないやろ」

「それでもさ・・・」

「はいはい、分かったから。とりあえず、こっち座り」


そう言いながら、融は自分の座っていたベンチの、空いたスペースをぱんぱんと叩いた。

ここに座れ、という意味で。

私は言われた通り、彼の隣に腰を下ろした。

それからしばらく、私たちの間に沈黙が落ちた。

何か話さなければとは思うものの、実際に何を話せば良いのかが分からなかった。