それからしばらくすると、注文したパンケーキやらコーヒーやらが運ばれてきた。
パンケーキを頬張りながら、香月先輩は何度も自分の腕時計を見て、時間を気にしていた。
私は思わず、どうしたんですか、と訊ねてしまった。
「え?どうしたって、何が?」
「だって、何か・・・さっきからずっと、時計を見てるので」
「ああ、ばれちゃった?実は今日ね、同窓会しないかって話になってて」
「それって、高校の、ですか?」
「うん、そうそう」
「てことは、融も――」
「俺は行かへん」
「え、そうなの?せっかくの機会なのに?」
「だから、何やねん。それとも何や、行ってほしいんか?」
「いや、そういうことじゃなくて」
「ほんなら、別にエエやん。な、彩」
「うん。それに、せっかくなんだから、二人でゆっくりすれば?」
「・・・はい」
私はそう言って頷いた。
正直、嬉しかった。
同窓会があると聞いて、きっと融も行くんだろうな、と思っていたから。
それなのに、まさか、残ってくれるなんて。


