「ん?何や、言うてみい」
「あのね・・・。ぼくね、明日、お引っ越しすることになったの」
「引っ越し?」
「うん。だからね、今日は、お別れしに来たんだ」
「・・・何や、そうか。そうやったんか」
「うん。でもぼく、ぜったい、トールとユズキのこと、わすれないからね」
「おう、俺もおまえのこと、絶対忘れへん。約束や」
「ぜったい?ほんとに、やくそく?」
「当たり前やろ。俺、約束は絶対破らんから。安心せえよ」
「うん、わかった!やくそくだからね!」
もし約束破ったら、針一万本ぐらい飲んだるわ。
ヒロト君と指切りをしながら、三上さんはそう言っていた。
私は、嘘つき、と心の中で呟いた。
「約束は絶対破らん」というのは、三上さんのついた、優しい嘘。


