Tender Liar



こんなに弱気な三上さんを、私は初めて見た。

きっとそれだけ、ヒロト君のことを可愛がっているのだと思う。

それからというもの、三上さんは毎日のように、この公園を訪れた。

にも拘らず、あれ以来ヒロト君とは一度も会えていない。

最後に会った日から一週間が経ち、三上さんも諦めかけていた、そんなある日。


「・・・トール!ユズキ!!」


もはや懐かしく思えてしまうようになった、ヒロト君の声が聞こえてきた。

彼はやはりおぼつかない足取りで懸命に走りながら、「トール、ユズキ」と、私たちの名前を何度も叫んでいた。


「トール、ユズキ」

「何や、おまえ。そんな急いで、どないしたんや」

「あのね。ぼく、言わなきゃいけないことがあるんだ」