Tender Liar



人には、限界というものがあるだろうか。

私は、あるのだろうと思う。

だとすれば、この気持ちにも、そのうち限界がやって来るのだろうか。

いつか、堪えきれなくなってしまう、その日が。


「柚紀」

「え?・・・どうしたんですか、急に」

「いや、エエ名前やなぁと思って」

「ありがとうございます。でも、三上さんの名前も、いいじゃないですか」

「え、俺の名前?三上融、やで。こんなんの、どこがエエねん」


そう言いながら、三上さんは笑った。

彼はそう言っているけれど、私は三上さんの名前が、すごく好きだった。

融、という字も好きだった。

それは、もしかしたら、「三上さんが好きだから」だったのかもしれないのだけれど。