彼と初めて出会ったのは、いつだったか。 確か、まだ私は学生だったはずだ。 その程度でしかない、曖昧な記憶。 まるで積もらずに溶けてゆく、淡雪のような。 まるで、散りゆく桜のような。 そんな、儚い恋だった。 それでも、がむしゃらに、私たちは進んでいた。 ただひたすら前へ、前へ、と。