Tender Liar



不意に、三上さんが立ち止まった。

気が付くと、私たちはいつの間にか、昨日の公園までやって来ていた。

三上さんは私を振り返り、「ちょっと、休もか」と言って、迷うことなく公園へと入っていった。

そして、昨日と同じように、ベンチに腰を下ろす。

今日はどうやら、ヒロト君はいないようだった。


「なぁ、柚紀ちゃん」

「はい?」

「柚紀ちゃん、何か悩んでんのか?」

「えっ、別に、そんなこと」

「ほんまに?俺で良かったら、いつでも相談相手になるからな?」

「あ、はい。ありがとうございます」


どうしよう。声が、震える。

これはきっと、緊張のせいだ。

今、自分が、好きな人の隣にいる。

それだけですごく、どきどきする。

心臓が、弾け飛んでしまいそうだった。


今のこの気持ちをぶつけたら、三上さんはどうするだろう。

全部、正直に言ってしまいたい。

全て、吐き出してしまいたい。

けれど、そんなことをすれば、もしかしたら三上さんに嫌われてしまうかもしれない。


そんな私の考えを、突然聞こえてきた「あっ」という叫び声が、一瞬のうちに切り裂いた。


「トール、ユズキ!」

「おう、何や、ヒロトやないか」

「トール、本当にここにいた」

「当たり前やろ。いつでもおる言うたやんけ。なあ?柚紀ちゃん」

「え?ああ・・・はい」

「ねぇ、トール。トールは、ユズキのこと好きなの?」