Tender Liar



やっぱり、三上さんは分かりにくい。

いつも、期待してしまう。

だけど、三上さんは、きっと私なんかのことはどうでもいいんだろうな。

そう思うと、切ない。

泣きたくなる。

それはもう、どうしようもないくらいに。


「柚紀ちゃん?」

「えっ」

「大丈夫か?何や、顔色悪いで」

「そうですか?全然、何ともないですけど」

「いや、絶対嘘や。・・・彩、悪いけど俺、柚紀ちゃん送ってくわ」


三上さんがそう言うと、香月先輩はすぐに頷いた。

私に、断る隙も与えず。

お陰で、私は三上さんと二人きりで帰ることになってしまった。

三上さんは、私への気遣いからか、いつもより歩調を緩めてくれていた。

けれど、そのペースが、私にとっては逆に、とても申し訳なかった。

つかず離れずの距離を保ちながら、ゆっくり、歩く。