Tender Liar



「あっ、柚紀。あの人」


翌日。

相変わらず、私の友達は三上さんを見つけると、それをいち早く私に教えてくれる。

三上さんは、私の周りではもうすっかり有名人になってしまっていた。

三上さん本人もそのことには気付いているらしく、私の友達にも気を遣って会釈をするようになっていた。

お陰で、私は毎日のように黄色い声を聞かされている。


そう。

三上さんは、女の子たちからの人気が高かったのだ。

確かに、よく見ると整った顔立ちをしている。

けれど、私が彼を好きな理由は、それではない。

もっとも、だったら何だと訊ねられても、答えられないのだけれど。