私はなぜか、泣きそうになっていた。
どうして、これくらいのことで。
でも、あんな風に言われたら、期待してしまう。
頭では、ちゃんと分かっているつもりなのに。
どうしても、心がついてこない。
――行き詰まったら、俺んとこ来いっちゅーことや。
――俺はずっと、柚紀ちゃんのこと待ってるで。
少し低めで、あったかくて、柔らかい彼の声。
一瞬、聞き間違えでもしたのかと思った。
それくらい、彼の言ったことは意外だった。
三上さんが私に、そんなことを言うなんて。そう思った。
ほな、またな。
別れ際、三上さんはそう言って私に微笑みかけてくれた。
私も同じように微笑み返したつもりだったのだけれど、どうだろう。
私はちゃんと、笑えていただろうか。


