「雪花さん、沙月が学校に来てほしいって言ってたよ。」



「…ふふ、なんだー。本当に私のこと待ってくれてる人、すずくん以外にいるんだねー。」



「いるよ、たくさん。」




笑った沙月がこっちを振り向く。



だけど、すぐに目を俯かせてその場に座った。




「…本当は私も行きたいんだけどね、行っていいのかわかんないの。」



「…どういうこと?」



「私が行くことでたくさん迷惑かけちゃうから。」



「そんなこと…。」



「そんなこと、あるんだよ。その迷惑に折角つくった大切な人を、なるべく巻き込みたくないの。」




座ったまま、どこか遠くを見る彼女が眉をさげる。



…小さな声だけど、きっとこれが彼女が学校に来ない本当の理由だろう。




何がとかどんな迷惑だ、とかは詳しくないものの、彼女が切実に思うのは伝わってくる。




でも、そんなの、普通じゃないのか。