今夜、君に月をあげる。






そんなことをモヤモヤ思ってる内に、意を決したように雪花さんが顔を上げた。





「あ、あの…私、見ちゃったの。」



「…なにを?」



「その…、土曜日に駅で、鈴木くんと沙月ちゃんらしき人が一緒にいるの。」




雪花さんの言葉にわずかにギクッとする。



確かに地元の大きな駅といえばあそこくらいしかないから、知り合いを見かけることなんて容易いだろう。




でも、まさか雪花さんに沙月といるところを見られるなんて…。




別にやましいことがあって隠していたわけでもないのに妙に焦る。




だって彼女が全然来てないはずの学校に、毎日のように夜屋上に来てるなんておかしいって思われてしまうかもしれないし。




「…あ、えっと。私もそんなに沙月ちゃんとじっくり会ったことないから本人かなんてわかんないけど、なんか、一瞬見た沙月ちゃんに似てるなぁっておもって…。」




でも、こんなに一生懸命に話してくれている雪花さんに嘘をつくことなんてできなさそうで。



…第一、僕はすごく不器用だから繕ってもすぐにボロが出てしまいそうだ。