今夜、君に月をあげる。






「鈴木くん!」




教室に松坂と入った途端、雪花さんが駆け寄ってくる。




ふと視線を送れば、綺麗な内巻きの髪の毛を揺らして僕をじっと見つめていた。




「あ、あの…。えっとね、ごめん、松坂くん、鈴木くんと2人で話してもいいかな?」



「え!?あ、お、おう…!!もちろんいいぜ!!」




デレっとしていた隣の空気がシュンってなったのを感じながら頭に疑問符を浮かべる。




どうして雪花さんが2人きりで話…?しかも松坂を抜きで。




「ごめんねっ!」ともう一回眉を下げて謝った雪花さんに連れられるがまま歩くと、人気のない階段に着いた。





「えっと…あ、い、言いにくいんだけど…。」




少し下を向いて喋る雪花さんを不思議に思って、少しだけ首を傾げる。




いや、多分健全な男子なら告白とか舞い上がるんだろうけど、さっきも言ったように生憎ながら僕モテないんで。




女子に、『鈴木くんって普通』って言われてる身なんで。