本当はもう暗いし、送ろうと思っていたけれど、タクシーを使って帰るから大丈夫だよ、と言われてしまった。
2人で駅のタクシー乗り場まで行くと、すぐに一台のタクシーが沙月を迎え入れる。
「じゃあね、すずくん。…また月曜日に、屋上で。」
「うん、またね。」
小さく手を振った彼女に、軽く手を上げるとバタンッとドアが閉まってエンジンがかかる。
車が見えなくなったのを確認して、ふと空を見上げた。
「…来週は、満月か。」
月なんて今まで意識してなかったのに、綺麗だなってそんなことを思う僕は、
どれだけ沙月に影響されているんだろうか。
なんとなくクスッと笑って、僕も家へと向かう。
…でも、それでもいいかもしれない。
来週は、満月。
きっと笑顔の彼女が見れる、はず。