「…ほら、じゃあ、行くよ。」
沙月の想いになんだか感銘したのか、自然と手で沙月の細い手首を軽く掴んで歩き出す。
「え、すずくんも行ってくれるの?」
「なんか、僕も沙月との今日を残したくなったから。」
後ろで驚いたような声を出した沙月に、そう答えるとなんだか背中の空気が軽くなった気がした。
前を向いて歩いているから、顔は見えないけれど容易に想像できる。
きっと、すごく笑っているんだろう。
小さく息を吸い込んだ音が聞こえた直後、ポツリと溢れるように、
「ありがとう。」と呟いたのが聞こえた。
心に降ってきたその言葉を噛み締めて、駅員さんのいるブースに2人で入る。
なんとも人が良さそうな駅員さんが対応してくれたからか、
快く無効印を押して、切符を僕達に渡してくれた。


