気づいたら、沙月の手首をそっと掴んでいた。
そこから連れ出したい訳でも、何かしたかった訳でもないけど。
驚いたように彼女が僕の目を見たことに安心して。
「…忘れないよ、なんで沙月がそんなこと言うのかわからないけど、僕は沙月のこと忘れないと思う。」
人目とか気にしてられなくて、そう告げれば、大きな透き通った瞳が見開く。
だけど、すぐに満面の笑みを浮かべた。
「そんなこと言ってくれるの、やっぱりすずくんだけだよ。嬉しい、…ありがとう。」
艶のある黒髪を、照れを隠すように耳にかけた君に思わず見惚れる。
沙月が綺麗だなんてずっと前から知っていたけど、
どうしてか今日は何倍も可愛く見えた。


