今夜、君に月をあげる。







気づいたら、沙月の手首をそっと掴んでいた。




そこから連れ出したい訳でも、何かしたかった訳でもないけど。




驚いたように彼女が僕の目を見たことに安心して。




「…忘れないよ、なんで沙月がそんなこと言うのかわからないけど、僕は沙月のこと忘れないと思う。」




人目とか気にしてられなくて、そう告げれば、大きな透き通った瞳が見開く。




だけど、すぐに満面の笑みを浮かべた。




「そんなこと言ってくれるの、やっぱりすずくんだけだよ。嬉しい、…ありがとう。」





艶のある黒髪を、照れを隠すように耳にかけた君に思わず見惚れる。




沙月が綺麗だなんてずっと前から知っていたけど、




どうしてか今日は何倍も可愛く見えた。