「…イルカショー?に、カッパ?」
「イルカが跳ねたりジャンプしたりして水に濡れることがあるんだよ。」
クラゲエリアを満喫した後、イルカショーの時間が近くなったからスタジアムに向かうと、沙月が雨合羽販売の場所を見て、首をかしげた。
「あー、そういうことかあ。来たことないから知らなかった。」
「…沙月ならはしゃいで濡れる席に行きそうだと思ってたけど。」
「んー…、でもカッパ持って来てないし、お土産にお金取っておきたいから…。濡れない席で見たいかも。」
少しだけ眉を下げて笑った沙月に、そっか、と納得してから前列で濡れなさそうな空席を探す。
40分前にもかかわらず、結構混んでいるスタジアム内だったけれど、2人ぶんの席が6列目に見つかった。
「沙月、あそこ空いてるから座ろっか。」
「うん、ありがとう。すずくん。」
僕の前を歩き出した沙月についていこうと進むと、彼女が下りていく段差でバランスを崩した。
思わず手を伸ばして、腰の位置を抱きかかえると華奢で軽い彼女がすっぽりと腕に収まる。
沙月が転ばなかったことに安心して、短く息を吐いた後にハッとした。
…さっきから、何やってんだ僕。


