今夜、君に月をあげる。







少しだけやっぱり風が強くて、僕のカーディガンと沙月のワンピースが泳ぐようになびく。



それすらも僕の気分を上げてくれるようで、なんだか思わず自分で笑ってしまった。



沙月に連れられてきた割には僕もはしゃいで楽しみにしてる。



こういうところが子供っぽいんだろうなあ。




「ねえ、すずくんっ、見えて来たよ!!」



「本当だ。」




でも、僕以上にはしゃいでいる人が隣にいるからそれくらい、いいかな。



3分という表示通り、すぐに見えてきた水族館に足が少しだけ速くなる。



ふと視線を周りに向ければ、海がすぐ近くにあって。



そしてすぐそばに沙月がいて。



空はまだすごくすごく明るいのに。



相変わらず、非現実的で夢みたいな世界だなあなんて、沙月の華奢な背中を追いながら少しだけぼんやりと思った。