今夜、君に月をあげる。







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「すずくんっ!」




僕を見つけるとすぐに右手を軽くあげて名前を呼ぶ。



それに応えるように少しだけ駆け足になれば、ニッコリと笑顔を浮かべた。




「ごめん、待った?」



「待ってないよー、って、ふふふ、なんかお決まりのセリフだねっ。」




9月10日。待ち合わせの3分前、9時27分。天気は晴れ。



昨日決めた通りK駅の北口で、出会うことができた。




「すずくんの私服姿初めて見た!」



「…僕だって、沙月の制服じゃない服初めて見たよ。」




晴れているんだから、当たり前に太陽は出ていて。



こんな明るい時に沙月と会うのが少しだけ違和感だ。



フワッとした素材に真っ白いワンピースが風になびいて揺れる。



微笑む沙月は、肩に焦げ茶色のショルダーバッグを掛けて、靴も色を合わせたウェッジヒールを履いていた。