今夜、君に月をあげる。







確か前に、出かけられるのが夜しかなかったって言ってたはず。





「…沙月はそんなに早くて大丈夫なの?」




僕の口から思わず出ていた疑問に、キョトンとした顔をした直後1人で吹き出した。





「あははっ、大丈夫だよ〜。私のことヴァンパイア的な何かだと思ってる感じ?昼は出歩けないとかじゃないんだから〜。」




「…それなら良いんだけど。」



「そうそう。ふふっ、大丈夫、明日はちゃんと朝から出かけられるから。」





彼女の笑みにそっと安心して、フェンスに寄りかかる。




…でも、じゃあなんで、学校には来れないんだろう。




『多分少し複雑な事情があるんじゃないかな。』




その時、お昼に聞いた雪花さんの言葉が聞こえて静かに目を閉じた。




……僕だってそこを余計に突っ込むほど無神経じゃない。



浮かんだ疑問を穏やかな綺麗な海へ沈めるように心の中で抑え込む。




沙月は相変わらず本当に謎ばっかりだ。




それでも、彼女から離れようとも、この関係を無くそうとも思わないのは、





……何故なのだろう。