「水族館…?」



キラキラ目を輝かせている沙月に聞き返すと大きく頷かれる。



「水族館行ったことないから、ずっと行ってみたかったの!ね、お願い!!」



「お願いって言われても…、水族館自体がここから遠いじゃん。」



「そんなことないよ〜、電車で1,2時間揺られてれば着くって!」





かなり遠いよね、それ。



純粋な目を向けられて、少し戸惑った。




「……まさかもうどこに行きたいとか決まってるの?」



「江ノ島!」




即答した沙月に、やっぱり、と少し項垂れたくなる。




江ノ島は海もあるし、すごく楽しいだろう。




でも明日いきなり江ノ島って…。





「僕と電車で1,2時間も楽しいの?」



「すずくんとなら楽しいよ、それに水族館に行けるなら1,2時間なんてどうってことないでしょう?」




「…本当に明日?僕何も準備してないんだけど。」



「えっ、そんなに準備っているもの?海も入るわけじゃないし泊まるわけでもないんだから。」





ケロッとした顔で至極正論を言われて、何も言い返せなくなる。




…まあ確かに、準備なんてそんなにいらないか。




沙月のわがままを聞くって言ったのも僕なんだし。