「鈴木くんが…?珍しい、あんまり女の子に騒がなそうなのに。」
「だよなぁ、俺も少し疑わしいと思ったんだけどよ、健全な男なら普通かなと思って。」
「ああ…、まあ沙月ちゃんは本当に美人だから、それもそうだよね。いつか沙月ちゃんとお話ししてみたいなあ…。」
肩をすくめて笑った彼女に松坂が、でれっと目尻を下げた。
それを視界に入れた瞬間、無意識に出ていた冷や汗を背中で感じる。
沙月のことについて触れられると若干ギクッとしてしまうのは何でだろうか……。
「実夏ちゃんは実際に入学式で月光の姫見たんだよな?やっぱり噂通りの女子だったのか?」
「噂…?あ、確かにすごい美人だったよ、もし芸能人だったとしてもモデルさんとかの群を抜いちゃうくらい。私も卒業アルバム以来で初めて見たからびっくりしたの。」
松坂の問いに答えた雪花さんの言葉に心底納得する。
確かに沙月が芸能人でも全く驚かないし、なんなら今話題の一流女優だって圧倒してしまうくらいのルックスだ。
そんな人が目の前に突然現れたら誰でもびっくりするだろう。