「沙月は本当に月が好きなんだね。…名前に月が入っているから?」
「それもあるね、名前にそういうのが入ってると好きになっちゃわない?」
「まあ昔は僕も鈴が好きだったけど…。」
鈴木って苗字だから、鈴が好きだなんて安直すぎるけどそれはそれで満足だった。
千里って名前は小さい頃は可愛らしくてあんまり好きじゃなかったし。
「そういうこと。それに、私は月と運命共同体だから〜。」
「運命共同体…??」
「あれ?知らない?運命を共にするんだよ〜。」
運命を共にするって、月と?
そういうのって普通、生涯のパートナーとかに使うんじゃないのか?
相変わらず沙月の謎が多い言動に疑問を浮かべていると、小さく吹き出したのが見えた。
「…なんで笑うの。」
「いや、だってすっごく真面目に考えてるんだもん、そんな深く考えないでよ冗談だって。」
お腹に手を当てて笑い出した沙月に少しだけムッとして空を仰ぐ。