「僕に、その後悔を消すことができるの?」





過去に遡れる訳でもないし、彼女を救えるかもわからない平凡極まりない男子高校生だ。





不安になって彼女に尋ねると、静かに僕と目を合わせた彼女が頬を緩ませた。






「うん、できるよ。すずくんなら。」





「…思い出を作るのが僕なんかでいいの。」





「すずくんがいいの。」






間髪を入れずに言った沙月に面を食らう。






「すずくんと思い出を作りたい。」





彼女の艶のある髪がそよかに吹いた風に踊った。






だから何で君はそんなにも透き通る綺麗な瞳で僕を見るんだろう。