今夜、君に月をあげる。







「どう、して…」




「どうしてって言われても…、うーん、私もわかんないの。気づいたらここに巻き戻されてる。」




「巻き戻されてる…??」



「うん、飛び降りたら飛び降りる寸前にいた場所に、何かにぶつかりそうになったらその少し前の位置に戻されるの。」






「だから昨日もここに戻されたのに、すずくんもういなかったんだもん。」なんて笑う彼女の言葉がうまく理解できない。






現に彼女がここにいる時点で、きっと嘘みたいで幻のようなその話は真実なんだろう。





でも、だからって。





だからって、…。






「…信じてくれなくてもいいよ、でも、きっと時間はかかってもすずくんなら信じてくれるって勝手だけど、私は思ってるから。」







混乱した頭にスッと彼女の言葉が入ってくる。




導かれるように顔を上げると、自然と目があった。




「…だけど、1つだけお願いがある。…質問の代わりに、私のお願いを聞いてほしい。」