「…信じられない?…じゃあ、見せてあげる。」
微笑んだ彼女が、ゆっくりと歩き出す。
嫌な予感がして止めようと手を伸ばしたけれど、彼女がスッとその場を離れたせいで叶わなかった。
「ちょっと、待って、沙月…、何する気っ…?」
「すずくん、見ててね?」
振り向いた彼女がゾッとするくらい綺麗に笑って、フェンスに付いているドアを当たり前のように開ける。
「ここのドア、鍵壊れてるんだよ〜?屋上自体に鍵付いているからってテキトーだよね。」
彼女のセリフにもうまく反応できない。
何かしなきゃって思うけれど、足が動かなくて。
止めなきゃって感じたけれど、息が吸えなくて。
彼女が淵に立って、こちらを振り向いた。


