もう…、1年も前か。



なんかそんな気がしないな。



1年間長かった気がするけど、あっという間だった気もする。



…君は、もしかしたら死んでいないかもしれない。



学校では想像通り何も説明はなくて。



松坂と雪花さんも不思議そうにしていたけれど、時間が経つごとにみんなは『月光の姫』の存在がだんだん薄れていったようだった。




確かに、もうあの1ヶ月がそのまま夢だったと言われても違和感がない。




高3になった僕の身長は、少し伸びたけれど相変わらず平均身長より1cm高いだけで、体重は少し軽い。




どちらかと言ったら痩せている体型かもしれないけれど、ぱっと見は至って普通。




…何も変わらないくらい平凡すぎる。




だけど、それでもいいかなって思っちゃうのは…全部沙月のせい。




沙月が「平凡って幸せだよ」なんていうから、そうかもなって思ってしまうのは仕方ないって。




ゆっくりと進むと、狭い屋上だからかすぐにフェンスへたどり着いた。