それを誤魔化すように、相変わらず開いている裏口から学校に忍び込んだ。



松坂には忘れ物を取りに行く、なんて言ったけれどそんなのでまかせだった。



本当の目的は、久しぶりに夜の屋上へ行くため。



右手に丁寧に持った一輪の花に、少しだけ心が躍る。



…約1年ぶりだ。



沙月からそのまま譲り受けていた鍵を持って、僕はあの時毎日のように入り浸っていた屋上へと入った。




ギィという音を立てるドア。




…ちょっとだけ音が鈍くなった気もする。




ひょこっと顔を出してみると、やっぱりそこには空っぽの空間が広がっていた。