────────────────……





『なぁー、鈴木ってもう進路決めたのかよ。』



「さすがに決めたよ。だってもう高3の9月だよ?」



『げー。鈴木って将来のことに対してはちゃんとしてるよなーっ。なんか去年も今頃から結構勉強してなかったっけ。』



「あー、…だって、幸せに生きるって約束したから。」



『なんだそれ、誰とだよ。』



「んー、こっちの話。とりあえず松坂はちゃんと考えたほうがいいよ。」



僕がそういえば、電話口で松坂が『はいはい。』と嫌そうな声を出した。



それにハハッと笑ってから歩きながらまた他愛ない話をする。



左手に持っている携帯は、少しずつ熱くなってきてくだらない話の長さを痛感させられる。



…夜の学校へ着くまで電話するのって、案外長いんだな。



そんなことをぼんやり思いつつ、テキトーに松坂の話に相槌をうつ。




『あーあ、恋してえな。』


「松坂って言ってることが1年前と何も変わらないよね。」


『気持ちに一貫性があるって言ってくれ。』


「あ、学校着いた。じゃーね。」


『鈴木ぃ!?』



電話から叫んでいる声が聞こえるけれど、スルーして切る。



明日うるさく文句を言われそう。



想像するとおかしくって口角が上がってしまった。