今夜、君に月をあげる。









少し理不尽さを感じたけれどふふっと笑った彼女が美人すぎて、何も言えなくなった。




…なんか僕の周りには美人が多い気がする。




鳴沢先生だってかなりの美人だし。




………って、あ。




「…鳴沢先生から忘れ物取り行くって言って、鍵借りたまんまなんだった。」




やばい、沙月がいたことに動揺しすぎて完全に忘れていた。



早く返さないと捜索されるかもしれない。




「…鳴沢先生?」



「若い女の先生だけど、職員室行ったことある?」




「ない〜。」




ヘラっとして笑った彼女が、夜空を見上げて「じゃあさ」と声を出した。




「最後の質問にしよっか。だってすずくん、1番聞きたいこと聞けてないでしょう?」




意味ありげに微笑んだ彼女に、目を逸らす。




…確かに何よりも聞きたいことを聞けていなかった。




正確に言えば何て聞けばいいのか分からなかった。





まさか、見透かされていたなんて。