「前に千里が幼稚園の時以来女の子と一緒にいるの見たことないって言ったでしょー?それがその子だよ、なんかどうしても県外に行かなきゃ行けなくて記念にってその栞をくれたのよね。」
そうだ、沙月は幼稚園の時に県外の病院に入院したって言ってた。
…それが、その時ってこと?
「懐かしいーっ、千里のこと最初は末木って呼んじゃって、一生懸命覚えるように“すずくん”って呼んでたなあ。」
「っ、姉ちゃんも栞貰ってたの?」
「うん、でも私はゼラニウムの花だったよ。千里は勿忘草だったから何でかなーって不思議だったけど、あれだね。多分花言葉。」
「…花言葉?」
「え、…知らないの?勿忘草の花言葉。有名なのに。」
呆れたような顔をする姉ちゃんに少しだけムスッとする。
…別に男子はそんなに詳しくないと思う。
だけど次の瞬間、居ても立っても居られなくなった。
姉ちゃんの口から出てきた、それが答えだった。
…見つけた、沙月の最後のわがまま。
気づいたら、走り出していた。
─── 『勿忘草の花言葉は、“私を忘れないで”。』


