「姉ちゃんっ!」
「なに、そんな勢い余って。」
ちょうどタイミングよくリビングへきた姉ちゃんを呼び止めれば、不審な顔をされる。
さっきから僕に対して不信感を出しすぎだけど、そんなの気にしていられなかった。
そうだ、僕の記憶はなぜかあやふやで姉ちゃんからだって、てっきり思い込んでいた。
「…姉ちゃん、この栞見覚えある?」
「栞?んー…、んー?あー…、これあれじゃない?千里が幼稚園の頃公園で遊んでた女の子にもらった栞じゃん。」
僕が差し出した栞をじっくり見てから、あっけらかんと答えた姉ちゃん。
その回答が、僕の仮説に一歩近づいていく。
まさか、本当に…。
「その子の名前って思い出せる?」
「えー…、あ、月ってついたような?なんだっけ、…ミヅキ?いやそれうちの犬だな。ハヅキ?いやそれ私の友達だな。…えっと、…さ、さ。さ?あ、サツキだ!!」
姉ちゃんが捻り出した答えに、カチッとパズルのピースがはまった気がした。
僕が持っていたこの栞は、…沙月が昔くれたものだ。
…僕らは、昔会っていた。


