今夜、君に月をあげる。






僕は、沙月との約束通り、この平凡を守っていかなくちゃ。



そう気合を入れようとした途端、母さんからの呼び出しがかかる。




「千里ー!!誰かから手紙来てるよー!!若宮さん?って子ー!!」




気合を入れようとしていた腕が、聞こえた名前にピクッと反応する。



頭で考えるよりも先に、母さんが持っている手紙に向かって走っていた。




「え、どうしたの千里。いつもと全然勢いが違うけど…。」



「い、いいから!手紙!どこ!?」




焦って母さんをまくしたてるようにすると、不思議そうな顔をして手紙が差し出された。



淡い水色のレースで縁取られた封筒。



消印を見ると、一昨日の日付だ。



…つまり、沙月が生きていた時に出したもの。



急ぎつつも、破かないように丁寧に中を開ける。