あの後、彼女がどうなったのかさっぱりわからない。



本当に悪魔の言う通り、昨日までしか生きれなかったんだろうか。



沙月は悪魔の話をすっかり信じていたけれど、それが本当だという確証もない。



沙月はまだ生きているのかもしれない。



そんな希望すらも持ってしまう。



それとも、この1ヶ月がまるごと夢だったんだろうか。



もぐもぐと頬張りながら食べているトーストが、少しだけ苦く感じる。



ぼーっとしている僕に姉ちゃんは怪訝な顔をしていた。




「千里って低血圧だったっけ?」



「…平均だったと思うけど。」



「じゃあなんでそんなにぼーっとしてるのよ。」



「ぼーっとしたいから。」




我ながら変な回答だと思ったけど、それ以外に答えようがなかった。



僕の答えに余計に眉間に皺を寄せたけど、姉ちゃんはそれ以上は追及しなかった。